鏡山次郎のやましな　温故知新

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鏡山次郎　作

山科を「理想的なまち」にしようと取り組んだ先人たちの願いや努力の跡････勧修寺公園の「まちづくりの碑」【勧修学区】

勧修寺グラウンド公園内にある「まちづくりの碑」

　この作品は、京都市山科区役所の公式アプリ「やましなプラス＋」のコラムに掲載された鏡山次郎の作品を、山科区役所の了解を得て掲載しているものです。

　山科南部最大の公園は、山科川に沿った西側、勧修寺東金ケ崎町にある、

　「勧修寺公園グラウンド」（勧修寺公園野球場兼運動場・勧修寺公園テニスコート）は、昭和５７年（１９８２）に開設されたもので、山科区民はじめ京都市民の貴重なスポーツができる場所となっている。

　野球場は、１万１９５１平方メートルあり、軟式野球なら（２面）、少年野球（２面）、ソフトボール（２面）、グランドゴルフ（２面） が可能で、テニスコートは、２９２６平方メートル（４面）、テニス（砂入り人工芝４面）、ソフトテニス（砂入り人工芝４面）を行うことが可能となっている。また、更衣室、トイレも備え付けられている。

　そして、この勧修寺公園のなかには「まちづくりの碑」が建立されている。これは、京都市山科南部地区土地区画整理事業が完成したのを記念して、平成８年（１９９６）に建立されたもので、碑の裏面には大要、次のように書かれている。

「京都市山科南部地区土地区画整理事業　土地区画整理事業の大要　この山科勧修寺公園を中心とした一帯は、平坦な山科盆地の南部に位置し、狭小な市道・里道が複雑に交錯した農耕地であり、その頃は周辺地域の無秩序な宅地開発が進みつつあった。このため、昭和四七年三月に健全な市街地の形成を目的とした土地区画整理組合を設立し、道路・水路・公園等の公共施設の整備を組合員一同の協力により、理想的な「まちづくり」を進めてきたところである。このたび事業が完成したので、ここに記念碑を建立するものである。　平成八年三月吉日（以下略）」

　この地で「山科南部土地区画整理事業」が始まった昭和４７年（１９７２）という年は、山科では大きな変化が始まっている。東山区役所山科支所が竹鼻から椥辻に移転し山科総合庁舎が開庁（区役所支所・保健所。福祉事務所。水道局）したり、山階小学校南分校が開校（現・山階南小）、山科中学校北分校（現・安祥寺中）が開校、勧修寺保育所が竣工、日ノ岡に山科児童館が開設、鐘紡山科工場跡地に消防署庁舎が建設、北花山に「花山バイパス」が開通、など、山科全体が大きく変わり始めた節目の年でもあった。

　とりわけ山科南部一帯は、この年を境に「市道・里道が複雑に交錯した農耕地」「周辺地域の無秩序な宅地開発」から、土地区画整理、道路拡張・新設、水路整備、公園設置等が急ピッチで進められ、現在へとつながる町に、その景観を一新した。約２５年間にわたる大事業であった。

　事業の一応の完成をみた、平成８年（１９９６）は、「山科区誕生２０周年」にあたっている。これもまた一つの節目の年だ。

　そして、翌年の平成９年（１９９７）には、京都市地下鉄東西線（二条～醍醐）が開通し、椥辻駅、小野駅などによりこの地域は、山科でも重要な拠点の一つとなって発展していく。

　これ以降、山科の「まちづくり」は、「基本計画」に引き継がれていく。２１世紀に向けた「山科区フロンティア計画」が平成１３年（２００１）に策定され、平成２２年（２０１０）の「第二期山科区基本計画」とつながっていった。そして現在「第三期山科区基本計画」が決定されようとしている。

　この「まちづくりの碑」には、山科を「理想的なまち」にしようと取り組んだ、先人たちの願いや努力の跡が刻まれている。この努力を、無駄にしてはいけないし、また引き継ぎ、発展させていかなければいけないと思う。（鏡山次郎）