鏡山次郎のやましな　温故知新

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鏡山次郎　作

安祥寺川は、新たに造られた人工の河川だった････安祥寺川【安朱・山階学区】

山科中央公園の横を流れる安祥寺川（山階学区）

　この作品は、京都市山科区役所の公式アプリ「やましなプラス＋」のコラムに掲載された鏡山次郎の作品を、山科区役所の了解を得て掲載しているものです。

　「やましな区民ふれあいまつり」の行われる山科中央公園の東側に、安祥寺川が流れている。

　実はこの川は、明治末期から大正時代にかけて、新たに造られた人工の河川であることはあまり知られていない。

　明治初期頃の安祥寺川は、安祥寺山を源とし、安朱・上野地域を南下したのち、旧三条通（旧東海道）の北側を西に流れて、當麻寺の裏から（御陵）阿弥陀寺の前を通り、「すずめ坂」の途中から道を横切り、現在の旧安祥寺川につながっていた。

　それを明治末期から大正時代にかけて、改修工事によって、ＪＲ山科駅西側のトンネルの下をくぐり、旧三条通の北からまっすぐ南下して、現在のＤ２・マツヤスーパー三条店の西側、安祥寺中学校・山科中央公園の東側、山階小学校の西側を通って、国道一号線南側で山科川に合流するように作り変えられたものである。明治４２年（１９０９）から掘削工事が始まっている。この川は、当初は「新安祥寺川」とも呼ばれたが、現在では「安祥寺川」、そしてかつての安祥寺川は「旧安祥寺川」という名で定着している。

　また、「新」安祥寺川建設に伴い、日ノ岡を流れる岡川や御陵地域を流れている小河川の川筋も、旧安祥寺川に流れるように改修された。

　この改修の理由は、主要には鉄道の東海道線の線路変更により、北花山の東山トンネルから現在の山科駅まで列車を通すため周辺より高い築堤（ちくてい）が設けられたため、大雨の時などに安朱・陵ヶ岡地域など築堤北側地域の浸水を防ぐためであった。

　また同時に、この改修は、旧路の安祥寺川によって現在の陵ヶ岡小・鏡山小学校付近がよく浸水していたのを改善するためと、「新」安祥寺川建設によって、厨子奥や西野、東野地域の農業用水の確保をはかるためであったとも言われている。

　こうした諸工事のおかげで、河川の水量が豊かになり、諸々の用水路も整備され、山科地域は永年の水不足から解放されて、農業生産量も新たに向上していくことになった。

（鏡山次郎）