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【本願寺山科別院（西御坊）】

　山科区民から通称「西御坊」と呼ばれている寺院があります。

正式には「浄土真宗本願寺派本願寺山科別院」といい、いわゆる「西本願寺」の山科別院です。

１４７８年に浄土真宗第８代蓮如上人が、山科郷野村西中路に坊舎をたてのちの山科本願寺となり、５３年にわたり隆盛を極めた建物が戦火により灰塵と帰したゆかりの地に、２００年後の、享保１７年（１７３２）、第１５代住如上人により、北山別院の旧堂を蓮如上人御廟所の東側に移築されたのがこの御坊のはじまりです。当時は聖水山舞楽寺と呼ばれました。

その後手狭になり、１７代法如上人の時代に、現在の本堂が建立されました。

　本堂内には「松林山」と書かれた大きな額が掲げられています。この「松林山」は山科本願寺の山号であり、このお寺は山科本願寺の歴史を伝えるお寺であるとも言えます。

　山科別院の特徴は本堂の南側に「中宗堂（ちゅうそどう）」かある点です。

中宗堂は文政６年（１８２３）に「蓮如堂」として建立され、建物の中には蓮如上人ご自作の像と伝わる「蓮如上人御木像」が安置されています。この像は、元は本山の西本願寺に安置されていましたが、明治１７年（１８８４）、第２１代明如上人のとき蓮如上人ゆかりの山科別院に安置されることとなりました。

　山科別院と山科地域との関係は深く。明治５年（１８７２）には境内に山階小学校の前身である「東野校」が開校していますし、昭和初期には保育園もありました。

この保育園は昭和１６年（１９４１）秋ごろまでありましたが、その後廃園となり、園児たちは発足した寺西幼児園（幼稚園）に移りました。

また、近年では平成２３年（２０１１）に旧茶所跡に「多目的会館」が新築され、地域住民の催し物やイベントにも貸していただけるため、地域の人にとっては、大変ありかたいお寺でもあります。

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